グラン・メゾンがこぞって獲得に走るヴェルズネイのピノ・ノワール

モンターニュ・ド・ランス地区でも北東向きのエリアに位置するヴェルズネイ村は大きな二つの丘を持ち、多種多様なテロワールをもちます。ピノ・ノワール栽培の聖地と称され、南向き斜面を持つブジー村やアンボネイ村とは趣を異にした個性をもつ特級村です。収穫時期がモンターニュ・ド・ランス地区に位置する他の村よりやや早いヴェルズネイ村では、バランスとエレガンスに秀で、ややソバージュな個性を持つシャンパーニュが醸されます。

パトリス・アルノーが育てるヴェルズネイのブドウは、グラン・メゾンがこぞって欲しがる逸品で、ボランジェを始めとする名立たるグラン・メゾンにプルミエ・タイユを分け与えています。完璧に手入れされた畑の、最上のブドウのみを自身のシャンパーニュに使い、ヴェルズネイでも最高のシャンパーニュを手掛けています。クリーンな質感と黒ブドウの上質なコクは旨みにあふれていて、その味わいは常にグラン・メゾンのキュヴェをブラインド・テイスティングで凌駕するほど。“畑こそが全て”というドメーヌならではの実力です。

空気式圧搾機や、斜面を利用したグラヴィティシステムと清潔なセラーは、果汁をデリケートに扱う万全の装置も有し、テロワールの個性をそのままピュアにシャンパーニュの味わいとして表現しています。長く続く余韻にはブドウ本来の自然な甘みが感じられ、和食の一番出汁のような繊細な素材の旨みを引き出します。フルボディでありながら、決して重くはなく、2杯3杯とついつい誘われるシャンパーニュです。