モンターニュ・ド・ランスの中央部、ヴェルジー村に本拠を置く、1940年創業・4世代続く家族経営のドメーヌです。ヴェルジー村のグラン・クリュ畑を中心に、約5.5haの畑を所有しています。現当主は、2014年に父ヴァンサン・ルノワール氏からドメーヌを継承したアドリアン・ルノワール氏です。

土壌は、中生代白亜紀後期カンパニア階の白亜質（チョーク質）石灰岩を主体とする底土に、新生代始新世バートニアンの石灰質土壌や泥灰土、さらに始新世プリアボニアンの石灰質土壌が表土として堆積しています。シャンパーニュでは比較的珍しい、シレックス（土壌中の火打石）が露出する区画も見られます。

2017年よりビオディナミ農法へ転換、2020年にはECOCERTおよびBiodyvinの認証を取得しました。現在も父ヴァンサン氏も現役でシャンパーニュ造りを続けており、親子でテロワールを重視した独自のシャンパーニュを造っています。

醸造哲学はそれぞれ異なり、ヴァンサン氏は収穫したブドウを伝統的な垂直式圧搾機でプレスし、主にステンレスタンクで一次発酵。マロラクティック発酵後は清澄を行わず、軽くフィルターをかけて瓶詰めし、二次発酵へ。最低4年以上という長期熟成を経てリリースされます。

一方、アドリアン氏は樽発酵・樽熟成を採用し、発酵はすべて自然酵母のみ。ジェッティングなど最新技術を導入して、フードルでの熟成などフレッシュ感を保つ試みに挑戦しています。