フリードリッヒ・ベッカーFriedrich Becker
独立した当初は、貴腐ワイン用の甘いブドウばかり生産していた他の生産者からは「酸っぱくてまずいブドウ」のレッテルを張られ、激しい非難を浴びました。そんなベッカーさんを支えたのは1965年に初めて訪れたブルゴーニュでの体験でした。当時まだ17歳だった彼はクロド・ヴージョを訪れ2本のワインを購入。帰りのバスで封を開けて飲んだ時の、衝撃的な味わい。さらに何度もブルゴーニュ訪問。土壌が石灰質であることを知り、自分の村もまさにそうであることから「いつかこのような素晴らしいワインを郷土で造ってみせる」と決意しました。彼がまだ20歳になる前のお話です。もう一つ彼を勇気づけたのはアルザス側のヴィーゼンブール教会が15世紀当時、隆盛を誇り、この地で生産されていたピノ・ノワールやリースリングが名声を誇っていた史実でした。 19歳になり、家庭を持ち、1967年に轟々たる反対の声に憶することなくカマーベルク(VDP認定グラン・クリュ)を購入。自分で育てたクローンのピノ・ノワールを植えたのです。他の農家から「ベッカーのブドウは酸が強く、すっぱくて不味い」と言われ続けましたが、自分の信じた道を貫き通した結果、1989年ヴィンテージのピノ・ノワールがワインガイド「Vinum」において最優秀赤ワイン賞を受賞。実に苦節16年。今ではドイツで一番権威のある ワインガイド 「ゴーミヨ」 にて、2001年から2009年ヴィンテージにおいて、8年間連続、最優秀赤ワイン賞を受賞。 彼一代、約30年で、「ドイツのDRC」と呼ばれるまでに成長したのです。 現在もその頃の逸話にちなみ、エチケットにはイソップ物語「ブドウとキツネ」の童話の挿絵が使用されています。 発酵が終わったワインを熟成させる樽は、フランスのブルゴーニュの樽と、地産地消の観点から、地元ファルツのオーク材の樽の両方を使用。ブルゴーニュ産の小樽で上質なものは入手が難しいこともあり、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティなど、ブルゴーニュのトップ生産者より、1年落ちの中古の樽を購入することもあります。 |
