モンターニュ・ド・ランス地区のエキュイユ村。 特徴的な砂質土壌から、そのふんわりとした優しさを体現したかのようなワインを生み出しているのが、ラクルト・ゴドビヨンです。

もとはそれぞれ別の仕事をしていたリシャールとジェラルディーヌ夫妻。ジェラルディーヌの両親のメゾンを引き継ぐために、共に退職し、アヴィーズの醸造学校で1年間学びました。メゾンを継承した後、2012年には協同組合から脱会し、ついに独立したレコルタン・マニピュランとしてシャンパーニュの生産を始めました。

ブドウ畑の表面には、ふさふさとした植物が覆いかぶさるように生え、羊たちが自由にその草を食み、小鳥たちがその様子を興味深げに見つめています。 ビオディナミやアグロフォレストリーなど、土壌と環境を守るため非常に手のかかる取り組みを行いながらも、一般的な季節労働者を雇うことなく、信頼のおけるチーム5人だけで丁寧に手入れしているゴドビヨン。
「妥協をしない、忍耐強く、がキーワード」…ブドウの品質を高めるため、収量をコントロールし、完璧な日を選んで収穫しています。
「素晴らしいワインは素晴らしい畑からしか生まれない」という信念のもと育てた自社ブドウだけを使って、このシャンパーニュは造り出されているのです。

醸造においては「Less is More（少ないほうが豊か）」がフィロソフィー。ステンレスタンクの発酵・熟成では、温度調節のできる小型サイズのものを使用し、できる限りポンプの使用は控えています。樽での発酵・熟成では、産地の異なる樽（エキュイユの森のオークを使用したものも！）で、一切のポンプを使わず、無濾過・無清澄仕上げ。キュヴェにより異なりますが、マロラクティック発酵の比率は少ないか、もしくは全く行いません。

そうして出来上がったシャンパーニュは、砂系を主体とした土壌を見事に表現した仕上がり。堅牢でミネラリーなスタイルとは一線を画す、エレガントで優しい、柔らかな味わいです。
フランスのワイン専門雑誌"Terre de Vins"では、「才能ある二人。長く続く喜びを与え、そしてまたすぐに味わいたいという抗いがたい欲求。この村の宝石だ」と心からの賛辞を贈りました。上級キュヴェはその手間から、年産1000本台から4000本台と、少量しか作れません。今後注目度が上がるにつれて、ますます入手困難になるであろう、才能あふれる生産者です。