フランシス・ブラールFrancis Boulardシャンパーニュで最も北に位置する畑フランシス・ブラールは、シャンパーニュで最も北に位置している「ラ・プティット・モンターニュ・ド・ランス」と呼ばれる地域に醸造所を持っています。この地域はランスの街から北に飛び地になっていることもあって、モンターニュ・ド・ランスでもあまり知られていない産地となっています。ランスから北上すると、正面に表れる小高い丘陵の斜面にブドウ畑が続いていて、サン・ティエリーと呼ばれるこの丘より北にはブドウ畑が存在しないので、この場所こそが事実上シャンパーニュ生産の北限となっています。 この地の気温はとても低く、冬にはなんと「マイナス15度」になることも。土壌は珪質石灰でとても砂が多く、特徴としてはよりアロマティックなシャンパーニュが生まれる傾向にあります。また、他の地域よりも軽やかでありながらもミネラル豊富で、フュメ香や、熟成によって白トリュフの様な香りも出てきます。 ビオディナミへの完全な転換以前は2人の兄弟と共に「レイモン・ブラール」としてワインを造っていましたが、それぞれの方向性の違いからそれぞれがドメーヌを立ち上げることになります。その最も大きな原因は「ビオディナミ」の導入に対する考え方の違いで、ドメーヌの分割後はフランシスと共に娘のデルフィーヌが、フランシス・ブラールのシャンパーニュ造りに加わっています。 親子2人が目指すのは、全ての畑における完全なビオディナミの導入。サン・ティエリーの区画は既に転換が終了していて、現在はピノ・ムニエやピノ・ノワールを中心としたヴァレ・ド・ラ・マルヌの畑をビオディナミに転換中です。ビオディナミを導入して以来、最初はやや閉じ気味ですが、熟成をさせると以前よりも明らかに複雑な要素が生まれ、長い余韻と張りが加わるなど、はっきりとしたポジティブな変化が生まれています。 大・小5種類の樽で発酵・熟成十分に熟度が上がるのを待って収穫されたブドウは、すべて区画毎・品種毎に分けて木樽で発酵と熟成が行われます。使用するのは205リットルのシャンパーニュ樽や、228リットルのブルゴーニュ樽、さらには20hlのフードル樽まで、容量の異なる5種類を使用しています。どれも5~12年の古樽のみで、新樽は一切使用していません。 また、樽の種類だけでなく「樽材の厚さ」による使い分けも重要と考え、「樽材の厚みの薄いボルドー樽=酸化が早く進む」、「樽材の厚みがあるブルゴーニュ樽=酸化がゆっくり進む」という事実をもとに、手間を惜しまずその特徴に合うブドウを、ヴィンテージや区画毎に毎年細かく使い分けています。 |