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而今

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名張の風土と、而今の哲学が結実した特別な一本

  • 三重・名張に息づく、歴史ある酒蔵

    三重県名張市。古くは伊勢へ向かう旅人たちを迎えた宿場町として栄え、能楽の祖・観阿弥ゆかりの地としても知られる、歴史と文化が息づく町です。
    その名張の旧初瀬街道沿いに蔵を構えるのが、而今を醸す木屋正酒造。創業は1818年。もともと材木商を営んでいた大西家が酒造業へと転じ、200年以上にわたり酒造りを続けてきた老舗蔵です。

  • 「今、この一瞬」に向き合う酒造り

    大きな転機となったのは、2003年。六代目蔵元・大西唯克氏が修業を終えて蔵へ戻ったことでした。地方の小規模蔵を取り巻く環境が厳しさを増す中、大西氏は蔵元自らが杜氏として現場に立ち、蔵の未来を切り拓くことを決意します。
    そうして2004年に誕生したのが「而今」です。 「而今」とは、禅の言葉で「今、この一瞬」を意味します。過去にとらわれず、未来に逃げることもなく、ただ現在の酒造りに全力を尽くす。その一瞬一瞬に妥協なく向き合う姿勢こそが、而今という酒の根底にあります。

  • 地元・名張の米で、最上質に挑む「宇奈根」

    今回ご紹介する「而今 宇奈根」は、而今のリリース20周年を記念して醸された特別な一本です。これまで而今の最上級品には、兵庫の山田錦や岡山の雄町など、各地の優れた酒米が用いられてきました。しかし「宇奈根」は、地元・名張の酒米で最上質に挑むという想いから生まれた、新たな挑戦ともいえる存在です。
    使用されるのは、名張の中でも特に優れた米を生むとされる美旗地区の「名張山田錦」。美旗は、標高約220mの盆地に位置し、朝夕の寒暖差に恵まれた土地です。さらに、古琵琶湖の湖底に由来する栄養豊かな粘土質土壌を持ち、日照量にも恵まれています。四方を山に囲まれ、風が吹き下ろす環境は、病害や虫害を抑え、健全な米の生育にもつながります。

  • 米と水を司る神の名を冠した一本

    「宇奈根」という名は、名張の古社・宇流冨志禰神社の主祭神「宇奈根命」に由来します。宇奈根命は、穀物と水を守護する存在とされ、まさに酒造りの根幹である米と水を司る神です。
    仕込水には、名張川、青蓮寺川、宇陀川といった近畿圏河川群の最上流部にあたる清らかな水が用いられます。花崗岩層や凝灰岩層を長い時間をかけて浸透した水は、透明感がありながらミネラルを含み、酒に凛とした骨格と柔らかな余韻をもたらします。

  • 而今では希少な、生酛造り

    さらに「宇奈根」は、而今では希少な生酛造りで醸されます。 而今の多くは、緻密で繊細、雑味のない美しい酒質を実現するために速醸酛で造られています。一方、生酛は自然の微生物の働きをより活かす伝統的な造りで、美しい酸や複雑味、奥行きのある余韻をもたらします。
    ただし、而今らしい透明感と繊細さを保ったまま、生酛の美点だけを引き出すことは決して容易ではありません。そのため、而今の名を冠して納得できる生酛酒は、ごく限られた数しか造ることができません。
    「宇奈根」は、まさにその難しい領域に挑んだ一本です。原料米は名張山田錦100%、精米歩合40%。而今の緻密さ、名張の風土、そして生酛ならではの奥行きが重なり合う、特別な純米大吟醸です。

  • ワインを愛する方にこそ味わっていただきたい日本酒

    ワイングロッサリーが「而今 宇奈根」に惹かれるのは、而今という名の希少性だけではありません。名張の山田錦、清らかな水、そして而今では限られた存在である生酛造り。それらを用いながら、而今らしい透明感と緻密さを失うことなく、土地の個性を一本の酒に昇華している点に大きな魅力を感じます。
    華やかさやわかりやすいインパクトではなく、飲むほどに輪郭が見えてくる奥行き。 米、水、造り手の技が静かに重なり合い、名張という土地の気配まで感じさせてくれる一本です。ワインにおいて、偉大な造り手が特別な区画や土地の個性を表現するように、「宇奈根」には而今が名張という原点に向き合った特別な意味があります。
    日本酒を愛する方はもちろん、ワインを通じて土地や造り手の背景を大切にされてきたお客様にも、ぜひ触れていただきたい一本です。

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