モーリッツ・キッシンガーが居を構えるのはラインヘッセンのマインツから南に約20km下ったエリア、ユルヴェルスハイム。代々ブドウ栽培を営んでいたキッシンガー家は1983年に元詰めも開始、モーリッツはその4代目にあたります。家業を継いだモーリッツはまず畑仕事の改革から始めました。ビオディナミの哲学やその具体的な農法と共鳴した彼は、最初のヴィンテージを手掛ける数年前から土壌の改良をはじめました。はじめはその試みにどれほどの意義があるものなのか不安もありましたが、年々生命力を増す畑のあふれ出るようなエネルギーにその自信は弛まぬものとなります。

そうして初めてワインをリリースしたのは2018年。活気に満ちたそのワインはデビューから瞬く間に大注目されます。
というのも、ドイツワイン界の絶対的存在である「ケラー　Keller」が、インスタグラムの投稿でキッシンガーを大絶賛。アルマン・ルソー シャンベルタン 2005と、モーリッツ・キッシンガー シャルドネ 2018を並べた写真とともに、「どちらのワインがより自分の心をワクワクさせるかを言うのは難しい」と投稿したのです。

とにかくワインに関する意見交換が好きで、他人の意見に真摯に耳を傾け常に学ぼうとするモーリッツ。初めてリリースしてから片手で数えるほどの年数しかたっていないにも関わらず、彼の造るワインは驚くべき進化を遂げています。その成長のスピードには、圧倒的な才能を感じずにはいられません。

そのエチケットのかわいらしさからもわかるように、彼がもともと造ろうとしていたものは、「するする飲める抵抗のないピュアなワイン」。ドイツにある日常消費用のブレンドワインに納得できるものがなく、それならば自分が美味しいものを造ろう！と手掛けたものが、その才能ゆえか恐るべき品質に！ エチケットからは想像できないほどシリアスでエレガントな仕上がりは、ワイングロッサリーのスタッフも驚愕したほどです。彼の造るゼクトはシャンパーニュを取り扱うのバーで出されているほど。ぜひエチケットで味わいを判断せず、一度飲んでいただきたいと心から思うワインです。

ドイツ本国での人気はすでにすさまじく、今一番注目されている若手生産者と言っても過言ではないでしょう。今後の活躍が約束された、絶対に目が離せないドイツ新世代の星です！