![]() 南仏の域を超越したスーパードメーヌ「クロ・マリ」の誕生1992年、クリストフ・ペイリュスがパートナーであるフランソワーズ・ジュリアンとともに「ドメーヌ・クロ・マリ」を設立しました。ペイリュスは、当時勤めていた海軍を辞め、ワイン造りのため一念発起。生まれ育ったカオールを離れ、南フランスの町モンペリエ(ラングドック地域圏の首府)から北へ約20km内陸にある小さなローレの町に拠点を構えました。当初、フランソワーズの祖母マリが所有していた8haの畑を受け継いで始まったドメーヌは、祖母の名前をとって「クロ・マリ」と名付けられました。 南仏最高峰の座を射止めるまでの15年間、ペイリュス氏は75%のブドウ樹の植替えなどの改革を行い、並々ならぬ努力を重ねてきました。門構えは小さな「クロ・マリ」の看板のみで、ウェブ・サイトも持たず、一般客の訪問も受け付けないクロ・マリが世界的ドメーヌとして君臨するに至ったのかは、彼の醸すワインを飲めばすぐに理解できます。「レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス」では2ツ星を獲得し、クロ・マリが造るキュヴェはすべて、フランス国内のグラン・レストランはもちろん、世界中からオファーが入り、一瞬にして売り切れとなるのです。 ![]() こだわり抜かれた栽培ーDRC並みの低収量ー![]() 2000年からはオーガニックからビオディナミへ転換。ビオディナミに移行する前から、肥料は極少量の100%有機で、除草も化学薬品は一切用いず、鋤き入れで対応していました。特筆すべきは、このドメーヌの高密植と恐るべき低収量。フランスの平均が6000本/haに対し、クロ・マリは1.3倍の8000本/ha。その上、DRC並みの平均30hl/haという低収量。いろいろと試行錯誤を重ねた結果、これ以上の低収量はブドウ樹にストレスを与えすぎ、逆に生体系を壊し悪影響を及ぼすので、自然に収量制限がなされ、30~35hl/haになるように仕立てをしています。一般的な栽培をしても、果実が凝縮し、ヴェルベッティーでエレガントなタッチになるピック・サン・ルーのブドウが、こだわり抜かれた栽培により、更なる高みに到達するのです。 シンプルな醸造ー昔ながらの方法ー![]() 栽培に徹底して労力をかける一方、醸造は至ってシンプルで、ナチュラル。近年の優れた造り手たちと同じく、「優れたブドウを育てれば、あとはナチュラルでシンプルな醸造を行えば、勝手に優れたワインになる」という考え方です。畑で選別されながら手摘みで収穫されたブドウは、更にセラー内で再び選別が行われ、その後、低温で温度管理された環境で長期間にわたり、キュヴェゾンが行われます。発酵はコンクリートタンクで行い、その後木樽(新樽、2~3年樽をキュヴェによって使い分ける)で熟成させます。キュヴェによっては、セパージュを最初からブレンドし醸造を行う昔ながらの方法を取り入れ、ピジャージュよりもルモンタージュを行います。600Lの中樽ドゥミ・ミュイの割合を少しずつ増やすことでフレッシュな果実味を引き出し、また、除梗せずに大樽発酵することで、果実のポテンシャルを最大限に引き出すことを目指しています。「本当に優れたブドウを得ることができれば、太古の昔の醸造のように、ワイン造りには特殊な技術も、特殊な薬品も必要としない」とペイリュス氏は語り、ごくごくシンプルでナチュラルな醸造が行われています。 |
クロ・マリ Clos Marie
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