アルザス滞在2日目に訪れたのは、アルザスを代表するドメーヌ、マルセル・ダイス

そして今回、何より楽しみにしていたのが、ジャン=ミッシェル・ダイスさんに実際にお会いすることでした。

以前から「信念の人」と聞いていましたが、実際にお会いしてお話を伺うと、その言葉の意味がとてもよくわかりました。

この日は奥様のマリー・エレーヌさんに案内していただきました。土壌、標高、斜面、日照、風……一つひとつの畑について、とても細やかに説明してくださいます。

途中からジャン=ミッシェルさんも合流し、そこからはさらに熱のこもったテロワールの話に。お二人の話を聞いていると、ワイン造りというより、「土地そのものとどう向き合うか」という話をしているように感じました。

ジャン=ミッシェル・ダイスさんと奥様のマリー・エレーヌさん


◆「ブドウ品種よりも、「テロワール」

アルザスといえば、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリなど、ブドウ品種の個性を思い浮かべる方も多いと思います。

しかし、ダイスさんが何よりも大切にしているのは、「どの品種を使うか」ではなく、「その土地がどんな味わいを生み出すのか」ということ。

アルザスには、石灰岩、泥灰土、花崗岩、砂礫など、さまざまな土壌が複雑に存在しています。同じアルザスでも、畑の場所が変われば、土壌も、そこから生まれるワインの表情も変わります。

ダイスさんのお話で特に印象に残ったのが、現在のアルザスを代表するリースリングなどの品種が、主要品種として定着したのは、実はここ100年ほどのことだということ。

つまり、「アルザス=リースリング」という今では当たり前のイメージも、アルザスの長い歴史から見れば、ほんの最近できたものなのです。

だからこそダイスさんは、現在の「アルザスらしさ」にとらわれず、その土地が本来持っている個性を、どうワインとして表現するかを大切にしています。

そして、その考え方は未来にも向けられています。

温暖化について伺うと、将来の気候変化を見据え、北向きの畑にブドウを植えるなど、すでにさまざまな取り組みを行っているとのこと。

過去から続いてきた常識をそのまま守るのではなく、これからのアルザスがどうなっていくのかを考えながら、畑と向き合う。

伝統を大切にしながらも、未来に合わせて変化していく。

そこにも、ダイスさんの「テロワールを表現する」という強い信念が感じられました。

土壌の「石」を触りながらのテイスティング

この日は、13種類のワインを試飲させていただきました。

マリー・エレーヌさんに一杯ずつ説明していただきながらのテイスティング。

特に印象的だったのが、ワインごとに、その畑の土壌を表す石が置かれていたことです。

実際に石を手に取って触ってみる。

冷たい石、黄色い石、赤みを帯びた土、花崗岩……。

その土地の石を触ってからワインを飲むと、グラスの中の味わいが、急に「土地」とつながって感じられます。

単に「酸がきれい」「果実味が豊か」というだけではなく、

「この味わいは、この土地から来ているんだ」

ということを、五感で感じることができました。

ピンクがかった色の花崗岩石
アルザスの建物はピンクがかった色が多い

エンゲルガルテン プルミエ・クリュ2024 ~冷たい石から生まれるエレガンス~

なかでも特に印象に残ったのが、エンゲルガルテン プルミエ・クリュ2024

ドメーヌのすぐ裏にある標高約350mの畑です。

実際に畑の石を触らせてもらったところ、その石が、本当に冷たい。

そして、ワインには冷たい石を思わせるような、透明感のあるミネラルが感じられます。

食事にすっと寄り添うような美しさで、マリー・エレーヌさんが、

「レモンが欲しいと思う料理によく合います」とおっしゃったのも、とても印象に残っています。

左がエンデルガルテン
それぞれ石の色が異なる

印象に残ったワイン

ほかにも、強く印象に残ったワインがあります。

★ビュルランベルグ プルミエクリュ 2022

ピノ・ノワールを主体とした赤。

火山性の影響を受けた硬質な土壌を持ち、「焼けた丘」を思わせるような燻したニュアンスがあります。力強く、果実味もしっかりしているのに、フレッシュさが残っている。まだ若々しく、これから長い熟成によってさらに深みを増していくことが想像できるワインでした。

赤いラベルからも味が想像できます。

★アルテンベルグ・ド・ベルグハイム グラン・クリュ 2018

この畑では、アルザスの伝統品種13種を混植しています。

品種ごとの個性を競わせるのではなく、すべてを含めて「アルテンベルグ・ド・ベルグハイム」という土地を表現しています。

飲んでみると、華やかでありながら、お茶のような旨味もあり、フレッシュさと複雑さが共存していて、ダイスさんの「ブドウ品種よりもテロワール」という哲学そのもののようなワインでした。

マルセル・ダイス入門編♪

ワイングロッサリーでも長く人気があるこちら。

マルセル・ダイス アルザス コンプランタシオン 2024

アルザス13品種の混植混譲を気軽に楽しむことができるコンプランタシオン。それぞれの品種の特徴が合わさることで見事なハーモニーを作り上げており、混植混醸ならではの良さが全面に表現されています。

飲み進めるたびに味わい深く、ゆっくりとお楽しみいただきたい1本です♪


今回13種類もの試飲をさせていただいて、どのワインにも美しい果実、ミネラル、酸が感じられ、それぞれが複雑に絡み合い、どれかひとつが突出することなく、絶妙なバランスでした。

ビオディナミも、混植も、複数品種を一緒に醸造することも、それ自体が目的なのではない。すべては、「その土地を、その土地らしくワインに表現するため」

ダイスさんの哲学をしっかりと感じることができた訪問となり、ますますマルセル・ダイスのファンになりました(^^♪

🍷この生産者の他のアイテムはこちら🍷