業務部の伴です。

先日、山梨県にある「グレイスワイン」を訪問する貴重な機会をいただきました。

普段は一般公開されていない明野(あけの)農場を見学し、畑づくりへのこだわりやワイン造りの哲学を学びながら、さまざまなワインのテイスティングも体験。今回は、その様子をご紹介します。

世界が認めるワインが生まれる「明野農場」

最初に訪れたのは、標高約700mに位置する明野農場。

南アルプスを望むこの畑は、周囲を山々に囲まれながらも、西側に広がる南アルプスが雨雲を遮ることで、ぶどう栽培に適した環境が生まれています。

土壌は火山由来の水はけの良い土壌。さらに、富士山や八ヶ岳から吹く風が畑を乾燥させ、健全なぶどうを育てる大切な役割を果たしています。

畑を歩きながら、「なぜこの場所が世界に評価されるワインを生み出すのか」が少しずつ見えてきました。

甲州の可能性を広げた「垣根栽培」への挑戦

グレイスワインでは、日本では珍しかった甲州ぶどうの垣根栽培にいち早く取り組みました。

風通しや日当たりを良くすることで、ぶどうはしっかりと熟し、凝縮感のある果実へと育ちます。

また、2012年からは有機栽培にも取り組み、一本一本の樹の状態を見極めながら収穫するという丁寧な畑仕事を続けています。

実際に畑を見ると、同じ列に植えられた甲州でも樹ごとに個性が異なり、その一本一本と向き合う姿勢が品質の高さにつながっていることを実感しました。

地下カーヴで味わった特別な一本

続いて訪れたのは、年間を通して約15℃に保たれる地下カーヴ。ここでは、まだ瓶詰め前の「キュヴェ三澤2025」を特別に試飲させていただきました。

キュヴェ三澤 2025

グレイスワインを代表するフラッグシップワイン。

柑橘というよりも桃やアプリコットを思わせるストーンフルーツの香りが印象的で、穏やかな酸とまろやかな口当たりが魅力。瓶詰めを遅らせることで、この豊かなアロマが生まれるそうです。

このワインの特徴は、自然に起こるマロラクティック発酵。2017年に試験的に保管していたワインで自然発酵が確認され、その後3年間の研究を経て商品化されました。さらに、自然発生した60株以上の乳酸菌をもとに、グレイスワイン独自の乳酸菌や酵母づくりにもつながっているそうです。


テイスティング1|甲州の魅力を年代で味わう

グレイス甲州 2024

ふくよかで親しみやすい果実味が印象的な一本。日常的に楽しめるワインでありながらも、一切妥協せず品質を追求する姿勢は、海外の著名ワイナリーの「ヴィラージュクラス」への考え方に通じるものがありました。

グレイス甲州 2022

2024年に比べて落ち着いた香り立ちで、ほのかにバナナを思わせるニュアンスも。豊かなミネラル感と穏やかになじんだ酸が心地よく、やさしい口当たりながらもキレのある味わいでした。

グレイス甲州 2012 マグナム

熟成による落ち着いた香りを感じながらも、ワインはまだまだ生き生きとした印象。色調は黄金色へと変化していましたが、みずみずしさと美しい酸がしっかりと残り、甲州の熟成ポテンシャルの高さを感じました。

グレイス甲州 1962

今回最も貴重だった一本。深みのある黄金色と、熟成による甘美な香りが印象的でした。熟成を重ねても酸が美しく残り、甘さは控えめで非常に上品な味わい。三澤洋子氏が手掛けられた歴史ある一本を味わえる、特別な体験となりました。


テイスティング2|赤ワインとロゼが魅せる表情

ヤマナシ ド グレイス 2023

マスカット・ベーリーA由来のキャンディのような華やかな香りに、欧州品種由来の土っぽさやハーブのニュアンスが重なります。果実味豊かな第一印象ながら、程よいタンニンが全体を引き締める、親しみやすいミディアムボディでした。

グレイス ロゼ 2024

鮮やかなロゼカラーが目を引く一本。美しい酸としっかりとした骨格を持ち、樽熟成による奥行きも感じられます。実は彩名さんが特に力を入れているワインの一つとのことで、そのこだわりが味わいにも表れていました。

あけの 2023

「キュヴェ三澤」のセカンドラベルとして位置付けられる一本。黒系果実に土や濃い赤い花を思わせる香りが広がり、丸みのある果実味の中にカベルネ・フラン由来の野性味も感じられます。スタッフの間では「根菜を使った料理と合わせてみたい」という声も上がりました。

キュヴェ三澤 2021

グレイスワインを代表するフラッグシップワイン。5年間の熟成を経てリリースされるこのワインは、ボルドー右岸を思わせる上品な香りと味わいが印象的でした。黒系果実の凝縮感に、きめ細かなタンニン、そして余韻にはセージやローリエを思わせるハーブのニュアンス。力強さとエレガンスを兼ね備えた、まさにグレイスワインを象徴する一本でした。


テイスティング3|甲州の新たな可能性

三澤甲州 2023

バレルサンプルで試飲した2025年ヴィンテージにも通じる、自然なマロラクティック発酵由来のまろやかさが印象的。ミネラル感に加え、ほのかな樽香が心地よく重なり、「甲州らしさ」の枠を超えた、エレガントなスタイルに仕上がっていました。

キュヴェ三澤 ブラン 2023

力強い樽の香りの奥から、白い花を思わせる華やかなアロマが広がります。まろやかな口当たりと美しいミネラル感が調和し、ムルソーを思わせるような奥行きのある味わいでした。果実の繊細な香りを守るため、夜間の涼しい時間帯に収穫する「ナイトハーベスト」が採用されているそうです。

グレイス ブラン・ド・ブラン Late Degorgement 2017

樽由来の香ばしさに、蜂蜜やブリオッシュを思わせる熟成香が重なります。力強さを感じる味わいながら、熟した果実やカラメルのニュアンスが広がり、シャンパーニュのヴァレ・ド・ラ・マルヌを思わせるような印象も。豊かな風味がありながら、後味はすっきりとしたキレがあり、長い余韻を楽しめる一本でした。

訪問を終えて

今回、初めてグレイスワインを訪問させていただきました。

普段は一般公開されていない明野農場を見学できたことは、本当に貴重な経験でした。甲州の垣根栽培や、美しく整えられたシャルドネ畑を実際に目にし、写真では伝わらない畑の空気や風景を肌で感じることができました。

畑づくりへの徹底したこだわりや、一本一本の樹と真摯に向き合う姿勢、そして品質を追求し続ける探究心に触れ、「なぜグレイスワインが国内外で高く評価されているのか」を実感する一日となりました。

特に印象に残ったのは、三澤彩奈さんの「もっと良い日本ワインを造りたい」という飽くなき探究心です。畑での栽培方法から醸造、さらには酵母や乳酸菌の研究まで、一つひとつ積み重ねられた努力が、グレイスワインならではの品質につながっていることを改めて感じました。

訪問時には、世界各国のマスター・オブ・ワイン(MW)の方々が山梨を訪れた際、「グレイスワインを訪問することを最も楽しみにしていた」というエピソードも伺いました。さらに、「グレイスワインは世界における日本ワインの印象を変えた存在」と評されたというお話もあり、日本ワインが世界で注目される理由を改めて実感しました。

もちろん、日本には素晴らしいワインを造る生産者が数多くいます。その中でもグレイスワインは、日本ワインの可能性を広げ続ける存在として、たゆまぬ挑戦を重ねています。

今回の訪問を通して、一本のワインの背景には、畑での地道な努力や、造り手の情熱、そして未来の日本ワインへの想いが詰まっていることを知ることができました。この感動と学びを、これからも皆さまにワインを通してお届けしていきたいと思います。ぜひグレイスワインの一本一本に込められた想いを感じながら、お楽しみください。

#ワイングロッサリー #京都ワインショップ #京都 #ワイン #kyotowine #winegrocery