こんにちは!アルザス担当のIです。
今回は先日トリンバックのアンバサダー、ジャン・トリンバック氏に来社いただいた際の様子をご報告いたします!

由緒正しきアルザスの名門

「アルザスワイン」と聞いて、まず初めにトリンバックの黄色いエチケットが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。それ程にアルザスを代表する生産者としてあまりにも有名すぎるトリンバック。同社は4世紀13代にわたり家族経営でワイン造りを行ってきたアルザスのきっての名門です。


1626年にアルザスで創業。8代目のフレデリック・エミール氏の頃、1989年にブリュッセルで行われた国際ワインコンクールで最高位に輝き、一躍脚光を浴びます。現在では12世代のピエール・トリンバック氏とジャン・トリンバック氏、そして13代目となる彼らの子供達、ファミリーメンバーがワインメーキングとセールスディレクターの役割を担い、トリンバックの歴史が継承されています。

1979年からワインメーカーているのがジャン氏の兄であるピエール・トリンバック氏(一番右)。
彼はドメーヌ・ルフレーヴの故アンヌ・クロード・ルフレーヴ氏やコント・ラフォンのドミニク・ラフォン氏、エゴン・ミュラー氏(とても親しい間柄だそう!)など名だたる生産者とともに、2006年にデキャンタにて「世界のTOP10白ワインメーカー」の一人に選出された人物であり、2016年にはフランスのワインガイド誌マグナムにて「10人のリースリングマスター」の一人に選出されたほか、フランスのワイン評価誌ベタンヌ・ドゥソーヴ2017にてパーソナリティ・オブ・ザ・イヤーを獲得。また、仏アカデミー・デュ・ヴァン・の学長まで勤められており、まさにフランスワイン界の権威でもあります!
そんなピエール氏は、アルザスで「Purist」と呼ばれる程に、常に純度の高さを徹底して求めるワインメイキングを行っています。

●風に恵まれた地リボヴィレ村

アルザス地方は、ムッシュカルクと呼ばれる石灰岩と、生物学的に分解された貝殻の化石や複雑な石灰質を含むモザイク上のテロワールが形成されている土地です。
西側に位置するヴォージュ山脈の影で雨風から守られ、豊富な日照量に恵まれています。気候は半大陸気候で冬は寒く、夏が熱いことが特徴です。特に収穫時の秋は昼夜の寒暖差が大きく、生育期間が長くなる為にブドウの熟度が上がり、複雑なアロマの生成が促されます。
トリンバックの現在のワイナリーはコルマールから北西に約15㎞離れたリボヴィレ村にあります。
リボヴィレにはヴォージュ山脈から乾燥した風が吹き込み、北と南に抜けていきます。この風のおかげで夜も冷涼で、ブドウは酸を保つことができます。それゆえ、フィネス溢れるワインを造ることが可能になるのだそうです。

画面中央の谷から手前に風が吹き込む 中心部の左側がロザケール、クロ・サン・トゥーヌのある場所
右の白い矢印がワイナリー

アルザスにはオーガニックの意識が強い生産者が多い事でも知られています。現在ではアルザスの約37%がオーガニック栽培になっているそうです。
トリンバックでも1972年から畑とワイナリーでは化学薬品を一切排除し、有機栽培を実践。収穫は手作業でのみ丁寧に行われます。2008年からオーガニック栽培への取り組みを開始、13世代の彼らの子供達の熱心な活動もあり、2023年ヴィンテージより契約農家も含める全ての畑で有機認証を取得しています。(畑には羊も放牧されています)
ジャン氏がセミナー中にも何度も口にされていたのが
「バランス」
「Quality cannot be improved in the cellar, but in the vineyard(ワインの品質はセラーではなく畑で決まる)」という言葉。
畑の品質管理に情熱を注ぎこんでいる姿勢が熱く伝わってきます。

●ブドウのポテンシャルを最大限に引き出す醸造

トリンバックの醸造ではアロマラティック発行や新樽熟成を行いません。
それはパワフルさとフルーティーさなどの彼らのブドウが持つ個性的を最大限に引き出し、最高級の辛口でバランスのとれたワインを造るためだそう。
その果実味、フレッシュさ、ドライさ、純粋さ、素晴らしいバランスから、世界中のあらゆる料理と相性が良いのが特徴です。

●輝かしいグラン・クリュ

トリンバックが所有する畑は約65ha、50以上もの区画に細分化され、リボヴィルレ、ユナヴィール、ベルグハイムを含む7つの村にまたがって広がっています。
また、トリンバックはグラン・クリュ保有面積の広さでも知られています。アルザスの51のグラン・クリュは全体のわずか4%しかない中、トリンバックでは所有畑の全体のうち、なんと30%をグラン・クリュという圧倒的なグラン・クリュ比率を誇ります。

世界中のリースリング愛好家の憧れ「クロ・サン・トゥーヌ」

その中でもトリンバックの名声を築く礎である「クロ・サン・テューヌ」は特別な畑です。200年以上前からトリンバックが所有する1.67haの極小の畑で、ムッシュカルクと石灰質土壌に樹齢60年以上に達するリースリングが高密植で育てられています。この畑から生れるクロ・サン・トゥーヌは、

「ワイン愛好家が味わうことを夢見るリースリングがあるとすれば、それがクロ・サンテューヌだ。」
1989年世界最優秀ソムリエ選出/セルジュ・デュブス氏

「アルザスで最も偉大なリースリング」
ワイン評論家/ヒュー・ジョンソン氏

など、名だたるワイン界の重鎮から惜しみない称賛を受ける、世界中のリースリング愛好家の垂涎の的といえるトリンバックのフラッグシップキュヴェです。
1919年から生産され、年間生産量も8,000未満と希少なキュヴェ。今年リリースされた2019年VTGは誕生から100周年を迎えた記念すべきヴィンテージ!であり、評価誌では「凝縮感とエレガンスが融合した偉大な傑作」と絶賛を受けているそうです。

●テイスティング 特に印象に残ったキュヴェ

ピノ・グリ レゼルヴ ペルソネル 2017

スモーキー、熟したジューシーな果実味とバタリーでオイリーな厚みのあるニュアンス。ジャン氏い曰く「ムルソーらしさのある」お気に入りキュヴェ。優しくなでるようなテクスチャーで長い余韻。バランスの良い秀逸なピノグリ。ちなみに、ジャン氏は前日のディナーの際に「他のトリンバックのキュヴェに比べて圧倒的にカニに合ったのが素晴らしいサプライズだった!」と喜んでいらっしゃいました。

リースリング セレクション・ド・ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022
ライムや様々な柑橘、リコリスなどの冷涼感さえ感じるような爽やかな香りが立ち昇ります。
リッチさとジューシーさ、ドライなニュアンスなど、複雑な要素が美しいバランスを構成しています。時間を追うごとに様々なニュアンスが現れます。ずっと香りを味わっていたくなるような美しいリースリング。

リースリング キュヴェ・フレデリック・エミール 2018
クロ・サン・トゥーヌと双璧をなすトリンバックのアイコニックなキュヴェ。洋梨などの果実、香ばしいミネラル感と熟した酸、キレと心地よい苦み。エネルギーを感じる味わいは今飲んでも勿論楽しめますが、さらに熟成させた状態も味わってみたいと思いました!世界のTOPソムリエに愛されるキュヴェ、と言われるのも納得です。

●最後に

セミナーで特に印象深かったのは、ジャン氏が語るトリンバックの誇りと情熱でした。
単に「アルザスで13代続く名門」というだけでは、世界のトップレストランに選ばれる理由にはなりません。
その根底には、「バランス」という哲学、そして「ワインの品質はセラーではなく畑で決まる」という揺るぎない信念があります。
それらが結晶となったワインは、人々の心を惹きつけ、飲むたびに新たな魅力を感じさせてくれます。
セミナーを通じて、ジャン氏の熱い思いとともに、その奥深さを改めて実感しました。

ぜひ皆さんも、トリンバックのワインを手に取って、その味わいを楽しんでみてください。
きっと、グラスの中に広がるストーリーを感じていただけるはずです!

▶トリンバックのワインはこちらから!🍷

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