セントラル・オタゴ3日目、連日気持ちの良い晴天に恵まれており、この日は朝から滞在先の周りをジョギングしてみました。ブレナムの自然とは異なり、セントラル・オタゴは山と湖の地形が豊か。


セントラル・オタゴで3軒目に訪問したのはヴァリ・ヴィンヤーズ。ワイングロッサリーでも非常に人気が高いワイナリーで、サブリージョン別のピノ・ノワールの感動もさることながら、ピノ・グリやリースリングなどのワインもレベルが高く見逃せません!

当初予定していたクロムウェルの街中にあるレセプションではなく、キンロスという観光客向けのセラードアの中でのテイスティングを行いました。キンロスは、クイーンズタウンからクロムウェルのちょうど中間にあり、5つのワイナリーが集合している施設。セラードアとは、そもそも「ワイン貯蔵庫の扉」を意味する言葉で、それが転じて「ワイナリーに併設されている試飲直売所」のことを指します。 ニュージーランドの他、オーストラリアやアメリカなどでよく見られます。
この日はセールス・マネージャーのクリスさんが快く出迎えてくれました。クリスさんは2017年からキンロスで勤務していて、大学時代にヴァリのギブストンとワイタキのピノ・ノワールに感動して入社。このキンロスは2013年からすでに観光客向けとして人気があったという。オーナーはキンロスというワイナリーの所有者で、ワイタキにバーもあります。


●ヴァリ・ヴィンヤーズとは
セントラル・オタゴのピノ・ノワールの先駆者グラント・テイラーが、ピサ山脈の麓にて、オタゴのサブリージョンの個性を反映したワインを造っています。土地のサブリージョンの個性の違いを映し出すために立ち上げたのがヴァリ・ヴィンヤーズ。テイラーは、ここ世界最南端の銘醸地について語るのに欠かせない人物です。カリフォルニアで経験を積んだ後、世界中に知られることとなりました。今では1700haものブドウ畑が存在しています。
1993年当時はほんの20haしか畑はありませんでしたが、テイラーは1998年に自らのワイナリーを立ち上げました。ワイナリー名は、ニュージーランドへ移住してきた曾祖父ジュゼッペ・ヴァリに敬意を表して「ヴァリ」と命名。2006年からは他社のワインメーカーを辞し、自らのワイナリーに専念していますが、ここでの目的は、セントラル・オタゴのサブリージョンによる違いをワインに映し出すこと。拠点のギブストンの他に、バノックバーン、ベンディゴ、そして少し離れた近年期待されているワイタキの4カ所でピノ・ノワールを造り、世界的に数多くの賞や高評価を獲得し続けています。

●テイスティング
“The Real McCoy” Pinot Gris Orange Wine 2023
23年はワイタキ産のピノ・グリを使用。ワイタキは、かつての海がなくなり、海の底が土壌になったため、ライムストーンなどのミネラルが豊富。クライストチャーチの町で良く飲まれているという。実際、訪れたワインバーでもオンリストされていた。クリスさん曰く、『味わいは語らないワイン。色、香り、味わいなど雰囲気で楽しんでもらいたい。』
Gibbston Pinot Noir2022
オタゴでも冷涼な西側エリアの畑。ピュアでやや濃いルビーレッド。質の良い豊かな果実味と共に、細くも芯のある酸味が熟成のポテンシャルを感じさせる。牡丹やカンネルなどのスパイス。新樽30%、そのうち 30%がフレンチオークのバレルで熟成。無濾過。2022VTはミルデューの被害があった。
Bannockburn Pinot Noir 2022
ギブストンから約20km離れたバノックバーンは、全く異なる気候。土壌はレス。かつての金鉱で、今はブドウ畑。標高も低く、気温も高いので灌漑あり。土壌よりも気候の影響を受けるスタイル。厚みあるルビーレッド、熟したラズベリーやクランベリー。心地良くほのかに果実としての甘みがあり、熟したタンニンとなめらかな口当たりとともにリッチな印象を演出している。今開けてすぐに楽しめる作品。
Bendigo Pinot Noir 2022
ベンディゴは1番新しいキュヴェ。2010年から生産。気温が高いベンディゴの中でも標高の高いヒルトップにある2つの小さい畑からの産出。粘土土壌の台地になっており、ワインにも酸やみずみずしさやジューシーさが備わっている。タンニンは口中ですぐにとろけるほど。11カ月の樽熟成。
Waitaki Pinot Noir 2022
ワイタキのみセントラル・オタゴでなく、「ワイタキ・ヴァレー/ノースオタゴ」エリアに分類され、唯一の海洋性気候。ニュージーランド初のユネスコ世界ジオパーク。石灰質土壌で、冷涼な気候。当初かなり小さい房だったので、どうしたら良いブドウを得られるか、苦労した。道にして100km離れているが、別の醸造設備はないので、ブドウを収穫後トラックで運搬し、ギブストンで受け取りプレス&発酵。熟したタンニン、ミネラル感もある。
ここでなんと、特別ワインが登場!
25th Anniversary Pinot Noir 2022
所有するギブストンの自社畑のディジョン・クローン(777や113、114等)をメインに選抜したピノ・ノワール。ギブストンでの25回目の収穫を記念した特別キュヴェ。香りの芳しさ、口当たりの滑らかさや厚みあるテクスチャー、サブリージョン別にワインを表現するヴァリにあって、特別な作品。現地でしか購入することができないレアなピノです。
Waitaki Riesling 2022
アルコール度数が10.5度と低め設定。当初、酸や残糖のバランスを調整するためのレシピがなかったので、何年も試行錯誤して現在のスタイルにたどり着いた。土壌はライムストーン。唾液を促す様なジワリと広がる酸味があり、現地ではシーフードと合わせることが多い。香辛料やスパイスの効いたアジア料理、中華などとも相性が良い。22年は、暖かい気候で病気もあったが、収穫しやすいヴィンテージとなりました。
●訪問を終えて
日本で飲んでいたヴァリのイメージ以上に、今回現地で説明を受けながらのテイスティングを経て、サブ・リージョンごとのキャラクターを体得することができました。特にクリスさんの説明はヴァリへの情熱が溢れていて、かつ明快に行っていただき、また特別なワインも出していただき感動しました。写真で並べると似たようなラベルですが、中身に各産地の特徴が明確に備わっており、ヴァリの哲学を存分に感じることができました!
●おすすめスポット!キンロスに行ったらぜひ寄ってみてください。
「The Church Cellar Door and Cafe」
キンロスの向かいにあるサンドイッチ屋さんでランチ。目の前に広がる大自然!猫も気持ちよさそう(笑)




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