ショップ店長の名取です!
本日はニュージーランド訪問記の6弾として「フェルトン・ロード」のレポートをお届けします。
●多彩で豊かな土地
セントラル・オタゴ3日目、この日が今回の研修で最も長い1日となりました。通訳はリッポンに引き続き、サトウワインズの佐藤さんという何とも贅沢なツアーです!本当にありがとうございました!
朝9時に出発しヴァリ・ヴィンヤーズを訪問。午後はランチを終えて、フェルトン・ロードがあるバノックバーンへ。
車で走るうちに気が付いたのですが、目的地に近づくにつれてとにかく地形が複雑に!広大な土地のイメージそのままに、その中に、山や谷、河、湖などの多彩で複雑な隆起のある土地ということを目の当たりにしました。



ワイナリーの名前のもとにもなった「Felton Road」を通って、畑の中の建物につくと、ニュージーランドを代表するワイナリーだけあって、多くのゲストや観光客で賑わってました。
ピンクのハーフパンツが似合う天才ブレア・ウォルターがお出迎え。
足元の敷物はよく見ると動物の皮。ハイランドカウという牛の皮で、実はこの牛がフェルトン・ロードの畑を支えているそうです。詳細は後ほど。


●歴史
まずはワイナリーの歴史についておさらい。
バノックバーンのポテンシャルを世に知らしめたフェルトン・ロード。地図から見て取れるように、畑が細分化されているのがわかります。この地はセントラル・オタゴの中心部に位置し、三方を山々に囲まれ、ボウル状の緩やかな盆地になっています。
夏季シーズンは暑い日中と涼しい夜の寒暖差が大き く、冬はマイナス5℃まで気温が下がり、準内陸性気候のもとで多様な微気候と地形が存在します。
オタゴのサブ・リージョンの中でシーズン中もっとも気温が上昇し、他の地区よりブドウの熟度が高いとされています。ブレアの情熱と努力が実を結び、バノックバーンは2022年 2 月1日、セントラル・オタゴのサブ・リージョンでは初のGIに正式に認定されました。
●バイオダイナミクスと自然との調和
すべての自社畑は2002年から有機・バイオダイナミック農法により育成。土壌中に生息する微生物及び植物の活動を活発にし、自然生物の多様性を供給することで土壌のバランスを整え、病気や害虫を自然に防いでいます。フェルトン・ロードのすべての畑がデメターとBioGro認証を取得。


畑の一角にあるプレパラシオンのための小屋は、「ブードーゥーラウンジ」と名付けられ、シリアスなフェルトン・ロードのイメージにあって、とても遊び心があって印象的でした。
ここでは自生する植物や育てているハーブ、ハイランドカウの角や糞などを利用し、プレパラシオンを作っています。ハイランドカウは牛乳、食肉としても役割があり、多方面でフェルトン・ロードを支えているのです。


●熟成について
醸造または熟成への深いアプローチ。自然酵母による発酵、果汁やワインに過度な圧力や負担をかけないグラヴィティ・フローシステムをいち早く導入。重力を利用した醸造所内の設計やレイアウトなどの機能性を追求し、人的介入を最小限に抑えています。 かつて1日4回行っていたピジャージュも現在は2回にとどめている。この方が理想的なタンニンを得ることができるとのこと。果帽の話では、厚みや抽出などについてティーバックの話が引き合いに出ており、これは全世界共通の例えなんだなと実感。熟成庫でのクラシック音楽はワインだけではなく、働いている人にも効果的と語るブレア。訪問時にはモーツァルトのバイオリン協奏曲が流れてました。
●テイスティング

これも現地ならではの風景の一つです。これほどの銘酒が揃ってのテイスティングは通常ではなかなかありえません。
リースリング以外は2023ヴィンテージでした。通常のバノックバーン・ピノ・ノワールでさえ、構造の密度から存分にポテンシャルを感じるほど。さすが2024年最優秀ニュージーランド・ワイナリーです。
特に印象深かったのでは、ブロック5のピノ・ノワール。深くピュアなルビーレッドカラーの液体から、赤い小粒のフルーツの心地よさに加えて、心地よい還元や全房由来の芳しさが。
口に含むと、一体いつ頃に飲み頃を迎えるのだろうと、思えるほどの緊密なボディとエレガントな酸味、緻密なタンニン。まるで咲く前の花のつぼみのようで、ブレアに飲み頃を聞くと、まだまだ先だと。では今飲んで欲しい飲み頃のワインは、と聞くと、「2012ヴィンテージ」といのこと。
やはり本当に美味しさが表れるのに10年くらいは平均でかかりそう。非常に有意義で貴重な経験でした。


訪問後、ブレアのご好意でご自宅でのディナーにご招待いただきました!
我々が滞在先している場所の湖の対岸にあるようで、着くととてつもない広さと建物や乗り物(ヨット)に驚くばかり。
でも一番驚いたのは、オーナーのナイジェルさんがいたことです。挨拶しても振り返らないほど料理の準備に集中されていました(笑)。料理でもナイジェルさんとブレアの息はピッタリ!
食事会では、フェルトン・ロードの歴史やバノックバーンのこれからの可能性について、色々なブラインドテイスティングからの現在のワイン市場の最新情報の話もお聞きしましたが、あっという間に夜が更け、気付くと時計の針は18時から23時に!。
真っ暗な中、帰路の途中で、ワインのスペシャリストたちと話せた喜びと感謝で改めて胸いっぱいになりました。この研修で得られたの素晴らしい体験の一つだったと思います。
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